妖精と亡霊

ほんとは芥川パロでフォロワーを食べる話でもしようと思ってたんですけど今日楽しかった新鮮な話をしたほうがいいと思うのでこっちにします。

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大学生の頃、比較文学文化学という遊びをやっていた。その遊びのなかで、「グリム童話における小人と悪魔の違いはなにか?」と訊かれたことがある。俺が「この存在は小人よりも悪魔に近い」みたいなことを口走ったせいで、まあなんとか答えたような気がする。取引の種類が違う的なことを言ったのかな。

今日、それとはまったく別の文脈で、マホイップとポットデスの話をした。マホイップはフェアリータイプ、ポットデスはゴーストタイプのポケモンなので、それぞれ現実に反映すると妖精と亡霊ということになる。現実に反映すると現実からいなくなってしまうのはなんだか変だけど。

まあなんか、ごっこ遊びですよね。ポケモンと一緒に暮らしてたらどんなツイートするか、みたいな妄想遊び。これは主観だけど、みんなはもう少し存在感のある存在と同居していた感覚がある。犬とか産廃とか。いや、比較対象が犬と産廃なのもどうかと思う。でも少なくとも犬や産廃は現実に存在する。

妖精と亡霊。
あんまり意識してなかったけど、こうやって並べるとイギリスみがすごい。ガラル新規ポケモンは伊達じゃないな。いや、フェアリータイプとゴーストタイプ自体はもっと前からあったとはいえ。

こいつらのことを考えて、こいつらと一緒にいる自分のことを考えていると、まず「あ、意思疎通できないな」と思った。ここが思考のおもしろいところで、そう思ってから、「そりゃそうだ、妖精と亡霊だもんな」と思った。

まあ、マホイップはいい。かわいいし。たぶんそんなに害もないし、人が得するはたらきかけをしてくれるのも妖精っぽい。イギリスの妖精についてそんなに詳しいわけじゃないけど、向こうのタブーを踏まない限りはこっちに加担してくれるってイメージがある。庭に置いてある髭ドワーフの置物とか。

大事なのは向こうのタブーを踏まないってところで、一度やらかしたらたぶんどんなに謝っても許してもらえない。即刻切られて、最悪報復を受ける。おとぎ話っていうのはそういう風にできている。そのへんを加味すると、まあ有害ではないけど、やっぱり意思疎通はできてないように思う。

問題はポットデスだ。だってもう名前にDEATHってついてる。進化前のヤバチャは自分の体(紅茶になっている)を飲ませて生気を吸い取ろうとしてくるらしいが、ポットデスも飲ませてくるらしいのでたぶんやってること自体は変わんないんだろう。

現実主観で言うと、こいつはポルターガイストだろう。ポルターガイストはソード・ワールド2.0でもアンデッドなので、ゴーストタイプなのは納得だ。ただのポルターガイストには意思とかなさそうだけど、ポットデス(の、進化前のヤバチャ)は「飲み残しの紅茶に寂しがりの魂が宿った」存在らしい。

その文面だけでも人間に悪影響がありそうなのに、仲間を増やそうとしたり、自分の体をトレーナーに飲ませて生気を吸い取ろうとしたりしてくる。ヤバチャの紅茶はまずいらしいが、ポットデスの紅茶は独特ながら美味いらしい。でも飲みすぎると腹を下すとあった。普通に害悪である。

もちろん意思疎通なんかできっこない。ポットデスにはポットデスのルールがあって、それに則って行動しているにすぎない。マホイップと違うのは、それをきちんと理解していないとこっちが痛い目を見るってところだ。

ポットデスに害意はない。でも、味見させてくる紅茶は割と劇薬だし、放っておくと仲間を増やそうとする。紅茶を飲みすぎないようにするのは当然、ポットデスのそばに食べ残しや飲み残しを置いておかないよう、気をつけて管理する必要がある。向こうに害意がないからこそ。

犬と人間は、同じ哺乳類だし、共存くらいは難しくないだろう。産廃と人間は切っても切れない関係にあるので問題外だ。草花はどうだろう。たぶんイケる。じゃ、妖精と亡霊はどうだろうか。

互いに理解できない、意思疎通も根本的には不可能な存在と共存する。ファンタジー世界の光景としては100点だろうが、実際はけっこう大変そうだ。それに白雪姫は王子様と結婚したし、アリエッティは住んでいた家を離れた。たぶん、そっちのほうがいいんだろう。いろいろと。精神衛生面とか。

もし、まだ願いごとが叶えられた頃、森があって、そのとっつきにでも住んでいたならば。そんな不確定の存在たちとも共存できたのかもしれないが。

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